東京高等裁判所 昭和38年(う)2469号 判決
被告人 小河内信夫
〔抄 録〕
所論は、原判示の交差点においては、道路交通法第三十六条第一項第二項により右交差点における通行につき被告人の軽二輪自動車に優先順位があるのであるから、須藤寛治において特別の免責事由を立証しない限り本件事故は同人の責に帰するものと推定さるべきものであると主張するので、按ずるに原判示交差点においては交通整理が行なわれていず且つ被告人の軽自動車の通行している道路の幅員が須藤寛治の第二種原動機付自転車(原判決に軽二輪自動車とあるのは誤記と認める)の通行している道路の幅員よりも明らかに広いことは記録上認められるところであるが、右須藤寛治の原審証人としての供述及び原審の検証調書によれば、同人の自転車が被告人の軽自動車より先に右交差点に入つたことが明らかであるから、かかる場合においては、該交差点における通行につき被告人の軽自動車に優先順位を認めることはできないものといわなければならない。同条項は交通整理の行なわれていない交差点における車両の交通につき、交差する各道路上を通行する車両が同時に右交差点に入る場合についてその優先順位を規定したものであつて、右各車両が時を異にして右交差点に入る場合についてまでその優先順位を規定したものとは解せられないから、前認定の如き状況の下に該交差点に入つた被告人の軽自動車に前記道路交通法規により右優先順位を認めることのできないことは明らかである。然らば被告人の軽自動車に優先順位のあることを前提とする弁護人の主張はその前提において失当にして到底採用できない。論旨は理由がない。
(山本 荒川 小俣)